NHK土曜ドラマ『ひとりでしにたい』第3話レビュー(ネタバレあり)

綾瀬はるかさん主演のNHK土曜ドラマ『ひとりでしにたい』(全6回)第3話では、独身生活を謳歌していた主人公の鳴海(39歳)が、自分の終活の前に親の終活を考え始めたところ、父親と母親との間で広がってしまっていた溝に直面。母親が熟年離婚まで真剣に考えていた、という内容でした。
ここまでのお話は、結婚していない独身の方には鋭く突き刺さる内容だったかもしれません。しかし、結婚しているから安心かといえばまったくそうではない、ということが描かれていたのが第3話です。配偶者のいる方にとっても耳の痛い内容だったと思いますし、これから高齢期を迎える両親のいる方にとっても「自分の親は大丈夫だろうか?」と不安になる内容だったと思います。
これまで「お金のことと人の生き死にのことは、家庭には持ち込まない」という暗黙のルールがある家庭が多かったのではないでしょうか。親の年金額や、資産がどのくらいあるのかを子どもが知らない家庭も多いと思いますし、高齢期に突入した親に対して「終活」を切り出すことに躊躇する人も多いでしょう。しかし、何も知らないまま親の具合が悪くなれば、両親の生活も子どもの生活も、一気に変容することになります。
例えばこのドラマの設定でこんなことが起こったとします。まだ何の準備もしていない段階で、鳴海の父親(演:國村隼)に軽度の認知症の兆候が表れ、母親(演:松坂慶子)が嫌々ながらも仕方なく父親の世話をしていたところ、母親がヒップホップダンス教室でいきなり倒れてしまったら。アイドルの推し活と仕事に忙しい独身の鳴海と、妻と小さい子供の3人暮らしの弟で、どのような分担で両親が生活を維持できるように支援していくことになるでしょうか。その際、両親がお互いに対して抱えている気持も、生活の基盤となる情報や資産状況も、何も分からない状況です。混乱をきたすことが安易に想像できます。
家族の間だからこそ、それぞれの「終活」について切り出しにくいという状況があることは理解できます。そこで、お盆の時期など家族が集まった時に、このドラマの感想を語り合うことから勇気をもって始めてみるのはいかがでしょうか。
両親がそれぞれどのような考えを持っているのか。独身の鳴海では、将来、弟家族に何を期待するのか・しないのか。話しにくいことではありますが、重くなりすぎないコメディ要素が散りばめられたこのドラマを、深刻になりがちな「終活」について、家族で前向きに話し合うきっかけにしていただければと思います。