COLUMNコラム

声を出すということ

仕事をしていて元気なうちは、一人暮らしをしていても「孤独・孤立」なんていう言葉は無縁だと思う方が多いのかもしれません。しかし、仕事を引退した後になると、一気に声を発する機会が減ってしまう人が多いようです。

 

特にこれだけ連日猛暑がつづいており、テレビの天気予報で「命に関わる暑さですから外出は控えて」などとアナウンスされてしまうと、買い物はインターネット経由で済ませてしまい、数日間、自宅から外に出ないことも十分に考えられます。そうすると、自宅にこもっているその数日間は、一度も声を発しない・笑わないという事態に陥ってしまいます。

 

声を発しないと、口の周りの筋肉があっという間に衰えると言われています。嚥下力(飲み込む力)の低下により誤嚥性肺炎を起こしやすくなる、呼吸が浅くなり呼吸機能が低下する、認知機能の低下につながるなど、様々な悪影響につながるリスクがあります。そして、気持ちの不安定さを引き起こしやすいこともリスクとして挙げられます。

 

まず、嚥下力については、声を出すことで鍛えることができるそうです。声を出すときは、喉の奥にある筋肉や舌、口の周りの筋肉を多く使うからです。大きな声で挨拶をしたり、ゆっくりはっきり話すことを意識すると、のどの筋肉がしっかり動きます。

 

呼吸機能については、声を出さないことで呼吸に関わる筋肉が弱まってしまう可能性がある一方、息を多く使って深く呼吸することで、のどやお腹の筋肉を多く使い、呼吸機能を維持・改善することができます。深い呼吸をするためには、歌をうたったり長い文章を読むことが効果的です。呼吸が深くなると、身体全体に酸素が行きわたり、疲れにくくなる効果も期待できます。

 

認知機能については、毎日必ず「声を出す」ことを意識するだけで、脳の働きを正常に保つ手助けになると言われています。例えば、声を出して本を読む「音読」や歌うことは、言葉を考えて、口を動かし、耳で自分の声を聞くという作用により、脳のさまざまな部分を使うことで認知機能の維持・改善に役立ちます。

 

一人暮らしで外出を控えがちになると、高齢者でなくても声を出す機会は激減します。もちろん、地域のコミュニティに積極的に参加したり、友人と電話で話すことなどができれば良いのですが、そうしたことが得意ではない、逆に気が重くなるという方もいらっしゃるでしょう。そういう方の場合、かならず毎日「しっかり声を出す」という習慣を、早いうちからルーティンにすべきです。

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