死亡届は誰が出す?(2)
死亡届の届出人となる資格者は、戸籍法第87条において厳格に定められています。先日、届出の義務者として戸籍法に記載されている「家屋の管理人」の解釈について、生前から見守り・安否確認等により緊急時の居宅への立ち入りを委託されている高齢者等終身サポート事業者が「家屋の管理人」として戸籍の届出を申し出た場合は、全国の市区町村役場の戸籍担当窓口で受理して差し支えないという解釈を拡大する事務連絡が、法務省から発出されたそうです。
これにより、頼れる親族が誰もいない状況で、大家さんがいない持ち家で亡くなったとしても、高齢者等終身サポート事業者と事前に契約さえしておけば、死亡の届出をする人がいないという事態は避けることができるようになります。しかし、未だ規制する法律が何もない高齢者等終身サポート事業の業界において、どの事業者でも責任をもって、死亡の届出をしてくれるのかといえば、こうしたことに関する知識や経験値、倫理観等により、契約すればどこの事業者でも安心というわけにはいかないでしょう。今後、認識しなければならない課題は以下の3点です。
第一に、高齢者等終身サポート事業者が「家屋管理人」として死亡届出を行う場合、事業者として届出人欄にサインができるのではなく、事業者の代表者が個人としてサインをすることになります。したがって、代表者個人の氏名、生年月日、住所、更には本籍地まで記載して届け出なければなりません。
第二に、高齢者等終身サポート事業者が「家屋管理人」として死亡届出を行うことは、権利ではなく義務であるということです。契約した後、まだ元気だからと安否確認を怠っていると、いつ何が起こるか分からない中で、事業者が知らない間に万が一のことが起こってしまうこともあり得ます。そうした場合、死亡届出の義務も果たせないし、約束していた葬儀・納骨等の死後の事務も履行できないという事態にもなりかねません。死亡の事実をいち早く知るということは、実はとても難しいことなのです。
そこで第三に、死後事務委任契約だけでは、死亡届出の義務は果たせないということです。生前からの見守り・安否確認の仕組みが導入されていなければ、死亡の事実をいち早く知ることはできません。つまり、高齢者等終身サポート事業者として「家屋管理人」の解釈で死亡届出を行うには、死後事務委任契約だけでは足りず、生前からの切れ目のない連続した終身にわたるサポート契約が必要ということです。
このように、死亡診断書による生物的な死を確定させた後に、その人の社会的な死を確定させる死亡届については、その重大性をしっかりと認識する必要があります。その届出義務が果たせるよう、生前から契約者の皆さまの見守り・安否確認を通じて、状況把握につとめなければなりません。