COLUMNコラム

音読のススメ

前回のコラムで、自宅に閉じこもりがちで声を出さずに過ごすことが危険だということをお伝えしました。では、一人暮らしであまり外出もせず、電話等で他人と話す機会もほとんどないという方は、どうしたら良いのでしょうか。

 

大きな声で歌をうたうのがお好きな方はぜひ楽しく歌ってください。カラオケボックスでひとりで気持ちよく歌う「ひとカラ(ひとりカラオケ)」も流行っているようです。

前回のコラムで、自宅に閉じこもりがちで声を出さずに過ごすことが危険だということをお伝えしました。では、一人暮らしであまり外出もせず、電話等で他人と話す機会もほとんどないという方は、どうしたら良いのでしょうか。

 

大きな声で歌をうたうのがお好きな方はぜひ楽しく歌ってください。カラオケボックスでひとりで気持ちよく歌う「ひとカラ(ひとりカラオケ)」も流行っているようです。

 

歌は得意ではないし、ひとりでも恥ずかしいという方におススメしたいのは「音読」です。私の手元に『おとなのための1分音読』という書籍があります。この書籍は、92歳になるOAGウェルビーRの利用者の男性が「僕は同じ新しい本を買ったから、古びたので悪いけど、この本をあなたに持っていてほしい。そして、音読のすばらしさを皆さんに伝えてほしい」とおっしゃって手渡されたものです。この男性は、お一人暮らしで足が悪く外出もままならない状況ですが、この「音読」をつづけていることによる効果なのか、年相応の物忘れはあっても明確な認知症の症状はなく、介護保険をつかいながらも自立した生活を送っています。

 

例を挙げましょう。「親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている。小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜かした事がある。なぜそんな無闇をしたと聞く人があるかも知れぬ。別段深い理由でもない」。そう、これは夏目漱石の『坊っちゃん』の冒頭です。大きな文字で漢字にはフリガナが振られており、見開き1ページで確かに1分ちょっとあればしっかり音読できる分量です。

 

「まだあげ初めし前髪の 林檎のもとに見えしとき 前にさしたる花櫛の 花ある君と思ひけり やさしく白き手をのべて 林檎をわれにあたへしは 薄紅の秋の実に 人こひ初めしはじめなり」。これは島崎藤村の『初恋』です。七音・五音で一行をなず文語定型詩で、声を出して読んだとき日本語のあまりの美しさに心が躍る感覚に陥ります。

 

「いったい私はあの檸檬が好きだ。レモンエロウの絵具をチューブから搾り出して固めたようなあの単純な色も、それからあの丈の詰まった紡錘形の恰好も」。大正14年に発表され、19歳で死の病を宣告された梶井基次郎の小説『檸檬』の一節です。声に出して読んでいると、頭の中に檸檬が思い浮かんできませんか。

 

ぜひ、お気に入りの1分を見つけていただき、毎日繰り返し音読してみてください。暗記してしまうのも良いかもしれません。皆さんとご一緒に「美しい日本語の音読発表会」など開催しても良いですね。音読を通じて、口の周りの筋肉を鍛え、心も身体も健康を維持するようにしましょう。

歌は得意ではないし、ひとりでも恥ずかしいという方におススメしたいのは「音読」です。私の手元に『おとなのための1分音読』という書籍があります。この書籍は、92歳になるOAGウェルビーRの利用者の男性が「僕は同じ新しい本を買ったから、古びたので悪いけど、この本をあなたに持っていてほしい。そして、音読のすばらしさを皆さんに伝えてほしい」とおっしゃって手渡されたものです。この男性は、お一人暮らしで足が悪く外出もままならない状況ですが、この「音読」をつづけていることによる効果なのか、年相応の物忘れはあっても明確な認知症の症状はなく、介護保険をつかいながらも自立した生活を送っています。

 

例を挙げましょう。「親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている。小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜かした事がある。なぜそんな無闇をしたと聞く人があるかも知れぬ。別段深い理由でもない」。そう、これは夏目漱石の『坊っちゃん』の冒頭です。大きな文字で漢字にはフリガナが振られており、見開き1ページで確かに1分ちょっとあればしっかり音読できる分量です。

 

「まだあげ初めし前髪の 林檎のもとに見えしとき 前にさしたる花櫛の 花ある君と思ひけり やさしく白き手をのべて 林檎をわれにあたへしは 薄紅の秋の実に 人こひ初めしはじめなり」。これは島崎藤村の『初恋』です。七音・五音で一行をなず文語定型詩で、声を出して読んだとき日本語のあまりの美しさに心が躍る感覚に陥ります。

 

「いったい私はあの檸檬が好きだ。レモンエロウの絵具をチューブから搾り出して固めたようなあの単純な色も、それからあの丈の詰まった紡錘形の恰好も」。大正14年に発表され、19歳で死の病を宣告された梶井基次郎の小説『檸檬』の一節です。声に出して読んでいると、頭の中に檸檬が思い浮かんできませんか。

 

ぜひ、お気に入りの1分を見つけていただき、毎日繰り返し音読してみてください。暗記してしまうのも良いかもしれません。皆さんとご一緒に「美しい日本語の音読発表会」など開催しても良いですね。音読を通じて、口の周りの筋肉を鍛え、心も身体も健康を維持するようにしましょう。

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