COLUMNコラム

誰に頼むか決めていますか?

これまでもこのコラムでお伝えしている通り、あなた自身で適切な判断ができない状況になった後は、存命中も、そしてもちろん逝去後も、誰かの手助けがなければ、あなたが望んでいた老後とその先を実現することはできません。そして、いつ、自分自身で適切な判断ができなくなるのかは、誰にも分かりません。

 

「誰かが何とかしてくれる」という意識を持っている方が多いようですが、あなたの意思や希望を慮って、あなたの思いを勝手に実現してくれる親族がいれば良いのですが、近年は親族がいても、以心伝心であなたのために動いてくれるとは限らないのが現実です。

 

先日、80歳を過ぎて夫に先立たれ、子のいない女性の親族会議の場に立合う経験をしました。亡夫から相続したエレベーターのないマンションの4階にある自宅に、その女性と85歳の兄、亡姉の娘である姪、そして筆者が集まりました。女性はほぼ毎日この階段を昇り降りしており、要介護認定も受けておらず、判断力も十分です。しかし、年齢を考えればいつ何があるか分からないので、どうしたら良いのか教えてほしいと相談を受けたのが、半年ほど前でした。幸い近所に、万一のときに助けになってくれる友人が数人いる、しかしそれ以上の迷惑や重い責任を負わせるわけにはいかない、年老いた兄と、亡くなった姉弟らの甥姪を合わせると、相続人は合計10人以上いる。筆者は、誰に何を頼みたいのかを決めること、さらにその依頼事項を頼みたい人が受けてくれるか、それを実行する権限があるのかを検討しなければならないとアドバイスしました。

 

その女性は約半年を掛けて、近所の友人や親族と話し合い、結果、身の回りの簡単なことは友人らと助け合う、具合が悪くなった後のことは姪に依頼すると決断しました。そして、自分の説明では姪が理解してくれないと思うので助けてほしいと、親族会議への同席のご依頼を受けたのです。

 

大変有意義な親族会議となりました。40代の姪は、まだ子育ても終わっていない上に共働きで忙しくしています。しかも長年離れて暮らしている叔母の望むことなど、勝手には決められないとおっしゃいます。叔母自身が、どういうときにどうしたいのかをきちんと事前に決めてほしい、それを、姪として実現するお手伝いをできる範囲でやるつもりはある、しかし、分からないことは専門家に相談できる態勢は整えていてほしい。特に、階段の昇り降りができなくなったらマンションを売却して施設入居するなどは、後見制度の利用も含めて分からないことだらけだから、相談できる専門家を決めておいてくれると助かる。これが姪の気持ちでした。

女性は「こんなことを姪が引き受けてくれたのだから、たいして残らないかもしれないけれど、10人以上いる法定相続人の中から、この姪にだけ相続させる内容の遺言を書きたい」という意思をお示しになりました。

 

こうしたやり取りを、女性の存命の兄がしっかり聞いており「姪がこうやってお前の面倒を引き受けてくれるんだから、姪がぜんぶ相続したって誰も文句は言わないよ」とおっしゃいました。

 

このように、元気なうちに誰に何を頼むのかを決めておくことによって、その後、いつどんな状況になっても、本人も周囲も対応に困ることはなくなるのです。

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